公式SNSってどうなのよ?を考えてみた

雑談ブログ

勘違いした情報発信

雑談というわりにはクリエイティブっぽい話が続いてますが、今回もプロモーション媒体としてのSNSを考えてみました。
きっかけは、私が参加しているFacebook・農業者グループのある投稿。
詳細は投稿者にお断りせず勝手に書いているので触れませんが、ある行政組織に所属している方が「地元農林水産業の魅力を伝えるために公式Instagramを立ち上げたものの、なかなかフォロワーが伸びない。どうしたものでしょう?」といような主旨でした。

興味がわいたのでこのインスタを覗いてみました。おそらくプライベートでもインスタに触れられている若い方がご担当なのでしょう。様々な写真がハッシュタグとともに投稿されていました。
このインスタ、1年でフォロワー1万人を目指す!とか書いてまして来月で立ち上げから1年になるのだけどフォロワーは900人弱でした。
私の感想は「いったいこのインスタで誰に何を期待してやっているのだろう?」しかありませんでした。
今日みたところでは一番上に表示されたのが「手作りワッフルに挑戦しました」というもの。
え?「地元農林水産業の魅力」はどこ行ったの?
様々な野菜や海産物の写真や地場産品をつかったであろう料理なども色々投稿されているのですが、その地域との関連性がまったく分からないクリスマスツリーの写真やコーラのペットボトルがやたら目を引くキャンプ飯の写真などが混じっていて、投稿のコンセプトに一貫性がありません。
全部見たわけじゃないので断言できませんが、若手職員の男女複数名が交代で投稿しているようです。彼らの中で投稿に対するトンマナ(tone and manner:コンセプトや雰囲気の一貫性)が共有できていないんじゃないかと思います。

これだけWEBサービスが発達し様々なSNSが利用されている今、情報発信・広告はグッと手軽で身近なものになりました。費用をかけずに世界中の隅々にまで自分の存在・商品・サービスをアピールできる時代です。
この手軽さからかピントのずれた情報発信もたくさんあります。
先ほど取り上げた某公式インスもそうした的外れな事例のひとつです。

個人の趣味ならともかく公的な立場での情報発信は「企画」言い換えれば「設計」が重要だと思います。
よく言われる「5W1H」をしっかりと考えてからスタートすれば農林水産業のアピールをするインスタに手作りワッフルの写真はアップされないはずです。

  1. Why:このサイト・コンテンツの目的
  2. Who:発信の対象者
  3. When:発信のタイミング
  4. What:発信する情報の種類
  5. Where:発信するサイト・SNSの選定
  6. How:発信する情報の特徴や仕掛け

費用のかかる従来型広告なら社内的に予算を確保するためにこうした基本的な設計は十分に検討されていたはずです。しかし費用の掛からないSNSでの発信は予算化が不要な分、こうした検討が緩くなっていることが多いのかなと感じます。
もちろん広告上手な大手メーカーなどはSNSの持つポテンシャルを十分に把握し綿密なマーケティングプランに基づいて発信しています。
この辺書き始めるとものすごく情報が多いのでひとつだけ具体的な切り口を書いてみたいと思います。

メディア特性からチャネルを選ぶ

LINE、Twitter、Facebook、Instagram、Youtube、TicTok……。日本でよく利用されるSNSだけでもこれだけあります。
それぞれ利用者属性分布や情報の内容などに特徴があります。この点を踏まえ目的に合わせたサービス選定をしなければなりません。

総務省「令和元年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書概要」のデータです。
LINEとYoutubeが8割を超える利用者。
それ以外は3~4割程度の利用、この中では一番新しいTikTokは2割弱の利用率です。
単純にこのデータだけから考えれば、より多くの方へ発信していくことを考えればLINEかYoutubeを使った発信を検討するということになります。
しかし、LINEはメッセージアプリとしての特性が強いので「友達登録」してもらうための別の施策が必要になります(単純な広告出稿やオリジナルスタンプの配信などもありますが)
Youtubeは動画なので「魅力的な動画を編集する」というハードルがあります。
Twitter、Instagram、Facebookは写真と文字がメインなので比較的手軽に頻度も多く発信が可能です。手軽な分、写真や文章の質(美しさではなく企画性という意味で)が重要になります。
加えて「このサービスの利用頻度が高いのは誰か」が非常に重要です。

例えばこれは総務省データの「Twitterの認知・利用・投稿率」の年代別データです。
Twitterは圧倒的に10~20代の男女が利用しています。40代では4割、50代では3割まで利用が下がります。
単純に言えば、高齢者向け腰痛対策サプリメントの場合Twitterではターゲットに届きにくいと言えます。もちろんまったく効果がないとは言いませんが、Twitterでは10~20代男女に向けた商品・サービスの発信の方がより高い効果が望めるのは間違いありません。

同様にInstagramを見てみると10~30代の女性の利用が圧倒的に多いことが分かります。
ここでは裏付けデータは示しませんが、若い女性がファッションやグルメ・スイーツ、美容、旅行などの情報を得る一番のチャネルがInstagramだと言われています。
彼女たちはインフルエンサーと呼ばれる方々の投稿や友達の投稿、興味のあるジャンルやブランドのハッシュタグを検索することで欲しい情報と接触します。
この利用者特性を考えると農産物の情報発信がInstagramだけでは効果が低いことはなんとなくわかっていただけるのではないでしょうか。

結論。試行錯誤していくしかない。

今回もっとも言いたかったのは「無計画に軽い気持ちで【公式】SNSを始めても効果はないですよ」ということです。
じゃあどうすればよいのよ?と言われれば、こうすれば成功しますよ!なんていう魔法のメソッドは無いとしか言いようがありません。
結局、SNSによる発信にどれだけのリソース(人手や時間・コスト)がさけるかによって変わるんだと思います。昔の広告がテレビと新聞、雑誌などを組み合わせたように、今は複数のSNSを組み合わせて運用していなかければならないのかもしれません。予算があれば従来のマスメディアによる広告も必要でしょう。
繰り返しますが【公式】SNSは個人の発信のようにノープランで始めても絶対成功しません。
しっかりとターゲットとのコミュニケーション戦略を設計し目先のアクセス数やフォロワー数にとらわれることなく、状況を常に検証しながら試行錯誤していくしかありません。
きっとそれが唯一の成功の方法なんだと思います。

<雑談の余談>
ここでは登場していませんでしたが個人的に「Pinterest」をものすごく利用しています。
クリエイティブのアイディアに困ったらすかさず検索してます。
昔は雑誌や専門書籍に頼っていたのが、キーワード一発で世界中の情報にアクセスできる。ホントに凄い時代になったもんですね。


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